アロイーズ・コルバス (Aloise Corbaz)
ローザンヌ(仏) 1886生 ― ジメル(瑞) 1948没

【略歴】
 11歳のとき母親を心臓病で失う。暴力を振るう郵便配達夫の父親のもとで育てられたが、オペラ歌手になる夢を抱いてオルガン奏者に音楽をならっていた。しかし、父親の反対でやむをえず夢を断念。さらに生涯唯一の恋人とも無理やり別れさせられる。
 1911年、ドイツ宮廷司祭の娘たちの家庭教師としてポツダムのサンスーシ宮殿に迎えられる。貴族たちの贅沢な生活を目の当たりにしたアロイーズはドイツ皇帝ヴィルヘルムに恋心を抱くようになる。彼女は戦争が差し迫ってきた1913年にローザンヌに帰る。しかし、対人恐怖や被害妄想に悩まされ、狂信的な宗教パンフレットを書いたり皇帝に恋文をつづったりといった奇行をはじめたために、セリー精神病院に放り込まれる。
 1920年、ジメルのラ・ロジェールという慢性病患者を保護する施設に転院。アロイーズは毎日修道女の衣類のアイロンがけをしながら、ひそかにドイツ皇帝への恋愛妄想にあふれた物語をつづったり、色鮮やかな素描を行ったりした。1935年に病院長から色鉛筆と紙を渡されて以来、しだいに彼女はエロティクな象徴と愛の物語にみちた絵画を、縦に長いフリース上に描くようになる。そこに描かれた彼女自身は、水色の大きな瞳と花と化した胸と果実入れの子宮を持った肉感的な女王だった。オペラ歌手になる夢はずっと消えることがなく、彼女は施設の職員や患者たちによくヴェルディのアリアを歌って聞かせたという。
 以上、『パラレル・ヴィジョン』を参照。(『不実なる鏡』に書かれた略歴と若干事実関係が違うようだが。)

  

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