参考文献

日本語で読めるもの  (外国語文献はこちら  本を探すときはこちら

『パラレル・ヴィジョン―20世紀美術とアウトサイダー・アート』
モーリス・タックマン、キャロル・S・エリエル編、日本語版監修:世田谷美術館 淡交社

 要は『パラレル・ヴィジョン展』の図録だが、日本語で読める最も詳細なアウトサイダーアートの紹介本である。ロジャー・カーディナルによるシュルレアリスムとアール・ブリュットの関わりについての論文、サラ・ウィルソンによるアルトーと精神療法、デュビュッフェのアールブリュット史についての解説、ラッセル・ボウマンによる米国シカゴのアウトサイダーアートについての報告、マーク・ギズボーンによる中欧の状況報告、サンダー・ギルマンによるフロイトの狂気と創造性への言及に関する論文、ジョン・マグレガーによる霊媒芸術家とヘンリー・ダーガーアドルフ・ヴェルフリの2大誇大妄想系作家に関する論文などが所収されている。表紙はオギュスタン・ルサージュの影響を受けたというアネット・メサージュ。この本をアマゾンで買うならこちら

ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で』 ジョン・マグレガー著・小出由紀子訳

 ヘンリー・ダーガーについては出版もとのこちらのサイトが詳しいです。素晴らしい! 敬意を表したく。この本をアマゾンで買うならこちら 楽天で買うならこちら

 

『アウトサイダー・アート』 資生堂企業文化部 企画・編集 求龍堂
 <ギンザアートスペース>でのアウトサイダーアートの紹介活動10周年を記念して、資生堂文化部が紹介した作家を中心に作品や作者略歴、識者による解説を交えて編集したもの。小出由紀子氏が編集に参加し、アール・ブリュット・コレクションのジュヌヴィエーヴ・ルーランが監修した。カルロ・ツィネリマッジ・ギルアンナ・ゼマンコヴァアントン・ミュラーヨハン・ハウザーロウル・ピジョンオズワルド・チルトナーミシェル・ネジャーヴェルフリアロイーズマルチン・ラミレスシルヴァン・フスコセヴァ・セクリッチスコッティ・ウィルソンエドムンド・モンシェルヘンリー・ダーガー西川智之坂上チユキヴィレム・ファン・ゲンクなどが紹介されている。この本をアマゾンで買うならこちら。楽天で買うならこちら

『愚者の機械学』 種村李弘 著  青土社 
 主にドイツ語圏の幻想絵画と狂気と隠秘主義、その他もろもろの興味深い事象を紹介し続ける研究者・翻訳家の種村李弘氏が、「現代思想」などの月刊誌に執筆したエッセイをまとめたもの。アドルフ・ヴェルフリについて書いた「アドルフ2世の王国建設」、 ゾンネンシュターンを紹介した「愚者の祝祭」、霊媒画家エンマ・クンツを紹介した「ある女霊媒の想像妊娠」が収録されている。私がアール・ブリュットにはまってベルンローザンヌまで旅行したのは、これらエッセイを読んだせいである。この本をアマゾンで買うならこちら
『シュルレアリスムと絵画』 アンドレ・ブルトン 著  人文書院  B5型 583頁
 ごぞんじシュレレアリスム一派の少々不寛容な領袖、アンドレ・ブルトンの『シュルレアリスムと絵画(Le surrealisme et peinture)―増補改定新版、1928−1965』(1965)の日本語訳。 1928年以降に書かれた美術エッセーがほとんど入っている。アウトサイダーアートに関していうと、1954年に霊媒アーチストについて書いた「ジョゼフ・クレパン」、デュビュッフェアール・ブリュット・コレクションプリンツホルンに触れた1948年初出の「狂人の芸術、野をひらく鍵」が収録されている。ブルトンは1948年、デュビュッフェに誘われて、ジャン・ポーラン、ミシェル・タピエらとともにカンパーニュ・ド・ラール・ブリュットに加わった。 近年『魔術的芸術』の普及版が日本で出版されたが、この中にもごくわずかであるが、シュヴァルや狂人芸術に触れたくだりがある。この本をアマゾンで買うならこちら 楽天で買うならこちら
『不実なる鏡―絵画・ラカン・精神病』 
ミシェル・テヴォー 著  岡田温司/青山勝 訳 人文書院      
 ローザンヌのアール・ブリュット・コレクションの館長ミシェル・テヴォーによる「Le miroir infidele, Les Editions de Minuit」(1996)の全訳。ジャック・ラカンの絵画行為論、ベラスケスの「ラス・メニーナス」に関する緻密な解説、フロイトが注目した「性器を見ると興奮するのに性器自体が美しいと考えられる事がほとんどない」という、思わず噴き出してしまいそうな事実への言及、と続いたあと、ジョン・マグレガーが紹介したドワイト・マッキントッシュについてアール・ブリュットならぬエクリ・ブリュットを語り、アドルフ・ヴェルフリの音楽的描画行為、アロイーズに関する持論を展開している。この本をアマゾンで買うならこちら 楽天で買うならこちら
『記号の殺戮』 フランソワーズ・ルヴァイアン 著
谷川多佳子/千葉文夫/太田泰人/廣田治子 訳  みすず書房
 有名な美術史家のアンドレ・シャステルのもとで学び、現在はフランス国立科学研究所(CNRS)のディレクターとして近現代美術史を専門に研究するフランソワーズ・ルヴァイアンの論文集の邦訳。本書の先頭論文の『シュルレアリスム直前のフランスにおける狂人と霊媒のデッサン』で、フルールノワの霊媒研究やログ・ド・フュルサックの諸研究(1905年に『精神・神経疾患における筆記とデッサン』)、プリンツホルンの『精神病者の芸術性』やジャン・ヴァンションの『芸術と狂気』が、どれだけアンドレ・ブルトンのオートマティスムに大いに影響を与えたか、1900年から1920年代にかけて、どれだけ芸術と狂気の関係に対する関心が高まっていたかを論じている。この本をアマゾンで買うならこちら 楽天で買うならこちら
ミメーシスを超えて―美術史の無意識を問う 岡田温司・著 勁草書房
 『もうひとつのルネサンス』『ルネサンスの美人論』などの著者として知られる京都大学の大学院教授・岡田温司氏の論説集。
 第1章では、「天才と狂気は紙一重」という日本でもよく使われる言い回しが、19世紀後半におけるロンブローゾの知的流行に始まることを指摘し、いかに日本の言論界に浸透していったかについて論じている。
 天才と狂気、あるいは芸術と狂気の関係をめぐる論議は、確かにいくつかの「危険」をはらんでおり、アウトサイダー・アートをめぐる言説もまたいろんな意味での難しさを抱えているという現状がわかる。

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アウトサイダー・アートの世界―東と西のアール・ブリュット
 はたよしこ編著 ボーダレス・アートミュージアムNO-MA企画 紀伊国屋書店
 2008年1月から北海道・旭川を皮切りに滋賀、東京を巡回する展覧会「アール・ブリュット/交差する魂」にあたって刊行された図録。編著者は滋賀のボーダレス・ミュージアムNO-MAのアート・ディレクターで絵本作家のはたよしこ。
  アール・ブリュット・コレクション館長のリュシエンヌ・ペリーほか、1989年に『アート・ランダム』シリーズでアウトサイダー・アートを日本にいち早く紹介した都築響一、『戦闘美少女の精神分析 (ちくま文庫)』でヘンリー・ダーガーの存在を知識人層に広く知らしめた斎藤 環等が寄稿している。
 タイトルは本サイトと同じですが一切関わっていません(笑)。この本をアマゾンで買うならこちら
『アウトサイダー・アート』 服部正・著 光文社新書
 2003年に出版されたアウトサイダー・アートの入門本。「アウトサイダー・アート」という言葉がもともとロジャー・カーディナルによるアール・ブリュットの英訳語であったことに言及していないのはやや気になるが、式場隆三郎の功績やみずのき寮の意義、エイブル・アートとの関係、あまり知られていない日本のアウトサイダー・アーチストたちにもページを割いている点は高い評価に値する。
 お気に入りは喜舎場盛也の漢字で埋め尽くした作品。文字の呪術性と作家の強迫観念の凄みをまざまざと感じさせる。この本をアマゾンで買うならこちら
『アート・ランダム アウトサイダーアート』 I II 都築響一編 京都書院
 『TOKYO STYLE』や『珍日本紀行』、台北市立美術館での『日本ラブホテル内装展』などで有名な都築響一が89年に編集を手がけたもの。そうか!都築響一の文化的芸術なきところに「原」芸術を発見するセンスのルーツはアウトサイダーアートにあったのか! ヴィクター・マスクレイヴとロジャー・カーディナルが中心となって築いた、イギリスのアウトサイダー・アーカイヴに保管された作品とその作者の紹介から構成されている。Iで紹介されているアーチストはミシェル・ネジャーサヴァ・セクリッチ、シャフィーク・ウディン、ペリフィモウ、ラファエル・ロネ、アンナ・ゼマンコヴァマッジ・ギル、グギングハウスの芸術家(ヨハン・ハウザー、ルドルフ・ホラチェック、オズワルド・チルトナーアウグスト・ヴァッラ)、ドゥサン・カスミック、アルバート・ルーデン、ヘンリー・ダーガー、ベン・ウィルソン、パスカル・ヴェルベナ。IIはよく知りません。

『芸術新潮1993年12月号特集現代美術をぶっ飛ばす!病める天才たち』新潮社

 世田谷美術館で開催された『パラレルヴィジョン展』を記念してつくられた特集。小出由紀子氏の「アウトサイダー・アートの系譜」が網羅的で分かりやすい。(現在もっともアウトサイダーアートに詳しい日本人はたぶんこの方だろう。)
 私がアウトサイダーアートにはまりはじめた最初のきっかけは、種村李弘『愚者の機械学』に所収されたヴェルフリに関するエッセイと、この特集ではじめて知ったルサージュゾンネンシュターン。なんといっても訪ねてきた青木画廊オーナーに「何もお見せするものがないので、これを見せましょう」とペニスをぽろりと見せた、ゾンネンシュターンのエピソードが実にアール・ブリュットだ。



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